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松尾 洋一*; 石地 耕太郎*; 竹下 大樹*; 納富 麻子*; 長谷 純宏; 野澤 樹
no journal, ,
ユズ等の多胚性種子を形成するカンキツでは、交雑育種による品種改良は困難である。われわれは、枝梢にトゲが発生するユズにおいて、実生胚軸の切断面に発生したカルスにイオンビーム又はシンクロトロン光を照射し、トゲ消失変異体の作出を試み、量子ビームによる突然変異育種法の可能性を検討したので報告する。イオンビーム照射では、合計3,743個体に照射を実施した結果、1Gy, 2Gy及び4Gy区で完全にトゲが消失した3個体を獲得することができた。また、部分的にトゲが消失した個体は各線量区で認められ、合計13個体の変異体を獲得した。シンクロトロン光照射では、合計1,997個体に照射を実施した結果、1Gy区及び20Gy区で2個体のトゲ消失個体を獲得することができた。また、部分的にトゲが消失した個体は1Gy, 2Gy及び10Gy区で認められ、合計5個体を獲得した。実用的な突然変異育種手法として評価されているイオンビームと同様に、シンクロトロン光もカンキツ育種への利用が可能であることが示唆された。